「なぜか惹かれる、その理由を遡ってみる」『今こそ“着物”』VOL.40 都田恵理子さん

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今回は、「なぜか惹かれる、その理由を遡ってみる」をお届けしたいと思います。

先日、備前を訪ねる機会に恵まれました。今回は、陶芸もされている研究所の木下勝博さんもご一緒に、窯や窯跡を巡り、備前市美術館で備前焼について知るなかで、土と炎の力で美を表現する「受け継がれてきた時間」を感じることができました。

備前焼のルーツは古墳時代の須恵器に遡るそうです。そこから長い年月をかけ、生活に寄り添う器へと姿を変えています。

釉薬を使わずに土を成形し、高温で焼き締められた器はとても丈夫で、茶の湯のお道具、食器や酒器など、みなさまの暮らしに溶け込んでいるのではないでしょうか。

[金重有邦さんのところで頂いたご子息の周作さんと陽作さんの「斿工房」のお皿]

私は、今回で初めて備前焼のお皿を求め、帰宅したその日から毎日の食卓で使い始めました。手に取ったときの質感、食材を盛りつけた佇まいを観察しています。

実際に使ってみると、器は眺めるだけのものではなく、料理や食べる人と一緒になって完成するものなのだなぁと感じます。

熱しにくく冷めにくい性質から飲み物の温度を保ちやすく、表面の微細な凹凸は、お皿の肌と料理の密着を防ぐため食事がしやすく、備前焼ならではの「使う魅力」が理解できました。

[訪問させて頂きました隠崎隆一先生の素敵な工房]

今回、備前焼を代表する先生お二人にお会いした際、印象的だったのは、お二人ともまず勝博さんのお着物姿にとても関心を持たれたことでした。

生地についての話題になると自然と会話が弾み、つくるものは違っても、素材と向き合い、ものづくりに携わる者同士だからこそ通じ合うものがあるのだとお見受けました。

背景にある思いや感覚には、どこか共通するものがあるのですね! そんな意思の疎通を目の前で感じられたことも、今回の備前で心に残ったことのひとつです。

器も、食も、着物も、長い時間の中で人の暮らしや身体に寄り添いながら形を変え、受け継がれてきたもの。そこには頭で理解するよりも先に、身体が「いいな」と感じる何かがあると気づきました。

備前をきっかけに、私たちが「なぜか惹かれる」ものをたどりながら、受け継がれてきた美しさをもう一度見つめてみたいと思いました。

※こちらのコラムは、毎月1回配信してゆきます。

【プロフィール】

都田恵理子(みやこだえりこ)ローフード研究家

オーガニック業界での広報職を経て、体にやさしい食や美容を専門に情報発信を手がける。madame FIGARO.jp などで活動。譲り受けた和装小物や日本の伝統文化に触れ着物に関心を抱く。