「生活の中の和」『日本文化を生きる』Vol.2 代表 木下勝博

木下着物研究所 代表 の木下勝博です。

2回目の今回は「生活の中の和」をテーマに書きたいと思います。

私と女将は20年前後、洋服を着ない着物・和装生活をしています。2020年に鎌倉に越してきてから、私自身は日常的に敷地内の庭や畑仕事もあるため作務衣もよく着ます。洋服と言われるものは、だいぶ昔に処分をしてほとんどありません。

時折、外出先で「何か特別な機会があったのですか?」「何かの先生ですか?」なんて聞かれることもあります。

多くの皆さんにとっては、着物は非日常の服だと思います。このコラムをお読みくださる方は一般の方よりも着物に関心をお持ちの方が多いでしょうから、休日に着るお出かけ着だったり、茶道の時に着たり、それでも日常着とは少し違うものかも知れません。

様々な方と日本の伝統文化についてお話をすると、「日本の伝統文化って素晴らしいですよね」「残してゆきたいですね」というお話になりますが、一方で敷居の高さや生活から遠くてなかなか取り入れられないというお声も多くお聞きします。


研究所にいらっしゃったお客様にお抹茶をお出しすると、「お恥ずかしながら作法も分からなくて...」というようにおっしゃる方が少なからずいらっしゃいます。でも、日本茶やコーヒーを出された時には言いませんよね。

「抹茶=茶道=いろいろ作法があって難しい、飲む機会が少ない」

「着物=礼装=いろいろ決まりごとがあって難しい、着る機会が少ない」

お茶も着物も似たようなことが課題になっています。

ほんの数十年前までは、着物で日常生活を送っていた方が多くいらっしゃいました。着物教室に通って着方を覚えたわけではなかったはずです。

また、私が所属している茶道流派がある島根県の出雲や松江周辺では、一般の家庭に訪問しても最初からお抹茶が出てきます、しかも普通に二服(=二杯)。お点前をして出すわけではありません。頂く方も日本茶を頂くとの変わらない感じで頂きます。


現代では多くの方にとってお茶や着物が特別で高尚なものになってしましましたが、少し前まで日常の延長線上にあるものごとだったわけです。まずはそのことを知って頂けるようにしたいと思います。