「そういえば履物ってこれで合ってる?」『難しいを難しくないに!』Vol.10 【女将紅子コラム】

月に一度、女将紅子が仕立てや和裁の基本、お客様からのよくある質問などをコラムでお届けします。

『難しいを難しくないに!』をモットーに、着物作りに役立つ知識を分かりやすく解説し、着物ライフをもっと楽しくするお手伝いをいたします。ぜひご活用ください。

第10回目は

「そういえば履物ってこれで合ってる?」

をお届けします。どうぞ最後までご覧くださいませ。


今回のテーマは、お客様からのお問い合わせがきっかけです。
草履を履いた時に、足を載せる台から足がはみ出ているのですが、これで合っているのでしょうか、とお問い合わせをいただきました。

そうそう、和の履物と、洋の履物では、捉え方が違うんだった、
このことをしっかりお伝えしたことがありませんでしたので、今月のテーマと致しました。


さて、最初に和の履物と洋の履物の違いをお伝えしましょう。

【和の履物】
台に鼻緒をすげてあり、足が外に出るオープンな形状になっている。
サイズ:S、M、L のようなおおよそのサイズ感
湿度を溜めない構造

【洋の履物】
サンダルを除き、基本的に足を覆う構造になっている。
サイズ:日本では基本的に5㎜ピッチ(海外でも約4㎜から約6㎜くらいのピッチ)
足を覆い冷やさない構造

知ってる、知ってる、見たら分かる当たり前の構造ですが、
このポイントこそが、そのことを理解することが、冒頭の「これで合ってる?」の答えの道標になるのです。

 和の履物(草履)は、靴とは異なり、鼻緒のすげ具合のぴったり感は感じることができますが、 靴のように幅や長さがピッタリ!というわけにはいきません。
先述の通り、構造が異なる訳です。


最初に【幅の話】
今からご覧いただく画像は、女将紅子がカレンブロッソを履いた時の写真です。
※撮影の都合上、屋内の板の間で履いております。


紅子の足は、24.5㎝ カレンブロッソは Lサイズを履いています。
左右の足共に台から指がはみ出ています。

 

人差し指で押しているところは、薬指の爪の部分。
 薬指の中程から台に足が載っておりませんが、これで問題ありません。
(紅子は足の幅も広い方では無くすごーく細い訳でもなく少し細め、甲もさほど高めではありません。)

↑この写真をご覧いただくと、足を載せる台が足の幅より狭くても問題ないということが、ご理解いただけるかと思います。

洋のものに慣れていると、びっくりの感覚だと思いますが、
足が少しはみ出ても問題ないというのは、
あるものに自分自身を合わせてゆく、着物の着かたと同じだなと思います。
(着物も履物もなんでもOKではありませんが、洋の物と比較すると柔軟です。)

 

次に【踵部分の話】に移ります。

カレンブロッソのサイズ表記では、

S/ 長さ 23㎝(目安:22.5〜23.5㎝)
M/長さ 24cm(目安:23.5~24.5cm)
L /長さ 25cm(目安:24.5~25.5cm)

24.5㎝は、Mサイズでも良いのですが、紅子はスニーカーなどを選ぶ時には、おおよそ25㎝のものを選ぶことも多いため、Lサイズを選んでいます。




画像をご覧ください。
 踵が少し出ておりますがこれが正解。
一般的には、踵が履物より1〜2㎝出ると言われておりますが、まあ、頃合いもありますので、よき塩梅で。

え?え?
サイズが合っていないのでは??
何故正解なの??


もし、踵が履物の内側に入ると、
①着物の裾を敷き込んでしまい、着物を傷める原因にもなります。
②踏み続けることとなり、裾を引っ張り続けることにつながり、丈がそのうち長くなり、着崩れの原因にも繋がります。

とはいえ、小さすぎると、足の踵が台に当たる部分と外にはみ出てしまう部分のキワに体重が掛かって痛くなってしまうことに。
あくまでも目安ですが、踵が履物より1〜2㎝出てOKですが、それ以上ですと、足の裏に負担が掛かってしまうことと思います。



お草履のサイズ感、わたくしにとっては、日常的に当たり前に感じていることだったのですが、 お問い合わせいただき、一度は感じたことのある このテーマでコラムを書いてみようかと、チャレンジしました。

少しでもお役に立てたら嬉しいです。