鎌倉の着物生活はつづく。。。



[こちらは「くらしのこよみ 友の会」に2022年12月25日に寄稿させて頂きました記事の転載になります]

【くらしのこよみ友の会より】


毎日着物生活の木下着物研究所の木下勝博・紅子です。

今年は冬至を過ぎると鎌倉もすっかり寒くなってきて、昼間の短いお日様が出ている時間が貴重なひとときです。築90年以上の古民家で生活していると、冬は家の中が最も寒く感じる場所です。


寒さが厳しくなってくると、着物とは言えこんな方法でも暖を取ります(笑)。

さすがにシルクの着物ではいたしませんが、普段着のウールの着物などであれば、使い捨てカイロを首の後ろに貼り、その上から割烹着や上っ張りを着て家事をします。皆さんが部屋着でカイロを貼るのと何ら変わりありません!


人間様は寒さで震える季節になりますが、動植物の活動はもちろん止まることなく、秋の紅葉の色づきが終わると南天や万両などの実が寒い冬空のもと、とても映えてきます。

また、空気が澄んできたせいか、小鳥のさえずりがよりキレイに聞こえるのは気のせいでしょうか?


11月ごろから咲き始めた庭先の水仙は今がピークです。茶花としては一月に使われることが多いですが、鎌倉で見かける水仙は他の地方より少し早めに感じます。

さて、師走に入ると本当に日が過ぎるのは早いもので、気づけばもう今年も一週間を切りました。


今年も日本の行事・歳時記研究家の広田千悦子先生のしつらいの教室でしめ縄飾りの準備です。
今年で3年目ですが、だいぶしめ縄作りも手が慣れてきました。広田先生のお教室は同じ季節のしつらえでも、毎年少しずつ趣向を変えてくださるので、何年通っても飽きることがありません。


日頃の生活の中で季節のしつらえもできれば良いのですが、慌ただしく過ぎて行く中では十分ではなく、年に何回かある先生のお教室(横須賀市秋谷)に伺い、季節を感じながら先生のお話と季節の準備をするひとときも大切な時間です。


季節を感じる生活の中でも、やはり大切なのは旬な食材を食すこと。コロナ禍で遠方に行くことは減ってしまいましたが、ご近所や周囲の行ける範囲でも様々な食材が手に入るのも鎌倉〜逗子〜葉山の魅力でしょうか。

写真はお気に入りのご近所のカジュアルフレンチ店の名物の季節のパフェ。今年の栗も大変美味しく、胃袋も季節をしっかり堪能しました(笑)。今年一年間、それぞれの季節の旬を感じる食に恵まれ、健康で一年過ごせたことに心より感謝したいと思います。

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長い人生の中でもこの1年数ヶ月は私たちの記憶と歴史に残るものになることでしょう。

人間世界は右往左往していましたが、自然世界は何も変わることなく淡々と季節が巡っていました。むしろ、人間の世界の活動が低調になった分、むしろ自然の方が元気になった部分もあるでしょう。私たちは自然の中で生かされている、改めてそのことを再認識する期間だったのかも知れません。

くらしのこよみ友の会の閉会ということで、今回の寄稿が最後となります。
毎日着物生活という今では少しユニークな私たちの暮らしの一端をこの2年間ご紹介させて頂きました。
時代が変わり私たちの生活環境も様々に変化します。そんな中でも自然を私たちの中でも変わらないこともたくさんあります。私たちの生活のお話が、皆さまにとって何かのヒントになりましたら幸いです。

木下着物研究所    木下勝博・紅子
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