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年の瀬・正月飾りと鎌倉・着物生活【くらしのこよみ友の会より】

[こちらは「くらしのこよみ 友の会」に昨年2020年12月30日に寄稿させて頂きました記事の転載になります]

【くらしのこよみ友の会より】

毎日着物生活の木下着物研究所の木下勝博・紅子です。
光陰矢の如し。今年も気づけば残り二日となりました。月に1度程度、寄稿させて頂いていますこちら「くらしのこよみ友の会」のブログも今年最後の更新となります。
今年は世界中で誰しもが一年前には想定できなかったコロナ禍による生活を取り巻く環境の変化が大きかったことと思います。
このブログをお読み頂いている皆様には既に何度かご報告させて頂きましたが。
私共は今夏8月後半に東京・高輪から鎌倉に拠点を移しました。東京の都市部の着物生活から海や山などの自然環境も豊かな鎌倉の着物生活では随分と趣が変わりました。
着物生活は変わりませんが、庭仕事や畑仕事が加わるようになり、着物もより生活に根ざした和装に深化して来ています。
さて、ここ何年か年末のこの時期になると、正月飾りを自作してます。自作と申し上げましたが、正確にお伝えすると神奈川県横須賀市の文筆家で日本文化・歳時記研究家でいらっしゃる広田千悦子先生が催されているしつらい教室で、毎年お正月飾りの準備をしています。
広田千悦子オフィシャルサイト

 

一年間続いたしつらい教室も、今年はコロナ禍の影響で春ごろから動画やオンラインでの講座を挟むようになり、一旦も復活した教室も今月のしめ縄づくりはまたオンラインでの開催となりました。

 

講座当日の午前中に伊勢の藁を始め、必要な材料が届き、午後からZoomと先生が事前に撮影された動画を組み合わせて、数名の生徒さんと共にしめ縄飾りを作りました。
同じ材料でもそれぞれの趣きが出るものです。
広田先生の講座がとても楽しいと共に、私共が着物に常日頃から着物に対して感じていることと共通することを感じます。
とかく着物や伝統的なしきたりというと、厳密に決まった規則やルールのように感じる人も多く、そこを違えてはいけない、中途半端に扱ってはいけない、そんな風潮が現代にはあるように感じます。
今までこちらのブログでもしばしば触れてきましたが、着物の時代や歴史によってその組み合わせ方や着こなしはかなり大きく変化しているものです。
広田先生によれば歳時記も同じで、地域や時代によって風習は本当に様々。その地域で入手しやすい材料などを用い、その地域の気候風土の延長線上に生まれ発展してきたもの。
例えば、正月飾りをいつ飾るか?ということも、北海道のように31日に飾るところもあれば、31日だと一夜飾りということで避ける地域が多かったりと、様々です。
お盆の風習なども、お盆シーズンが地元の農作物と収穫期と重なるような地域では、簡素化されたり、時期をずらされたりと、様々な地域出身の方々とお話をすると、本当に個性があります。
今年は田舎に帰省せずに年末年始を過ごす方も多いことでしょう。私共は初めて迎える鎌倉でのお正月になります。

例年の鶴岡八幡宮の初詣の参拝客は250万人と聞きます。今年はそこまでの人出とはならないと思いますが鎌倉駅周辺が車での通行が止められ、私共が住んでいる材木座エリアも「通行手形」がないと車の侵入ができなくなります。
もともと道幅が狭く渋滞の多い鎌倉では、地元の方は三ヶ日は動かない方も多いそうです。
そんなこともあり、30日の今日は今年最後に鎌倉有数の古刹長谷寺に来年のコロナ禍終息祈願に行って参りました。
長谷寺と言えば、四季を通じて花が絶えることのない鎌倉の西方極楽浄土と言われる場所。早くも蝋梅が咲き始めていました。
日頃に比べれば観光客は少なく、ソーシャルディスタンスも気にすることないくらいの状況でした。日中は陽射しも暖かで良いお散歩日和でした。
こちらの大黒天様は室町時代1412年の造立(あるいは修繕)とのことで、東日本最古の大黒天像とのこと。子年最後にねずみとご縁深い大黒天様にお目にかかれたことで一年の良い締めくくりとなりました。
日頃気づかずに見過ごしているところも多いのですが、鎌倉には観光地として一般的に知られていなくとも鎌倉時代以前からあるような歴史ある寺院も多くあります。
ご近所にも大小いくつも寺院もあり、コロナ禍の影響もあるのか、以前に増して手を合わせる機会が増えている気がします。
来る2021年令和三年が世界中の人々にとって、少しでも心豊かな平穏な一年となりますことを心より祈念しております。
今年はお出かけをする機会が減り、着物を着る機会が減ったという方も多いかも知れません。
私共で言えば、今年元旦から始めましたYouTubeの毎日動画配信も明日の大晦日で365日連続配信も達成できそうです。そんな配信をみてくださる多くの視聴者の皆様からは、今年は自宅で着物を着ることが増えた、動画を毎日見ていたら着物が着られるようになった、というコメントもたくさん頂くようになりました。
今年の年末年始、帰省や例年の初詣も控える方も多いかも知れませんが、そんな環境だからこそ、ご自宅でのお正月を少しでも心豊かにして過ごして頂くためにも、着物も着て頂けましたら幸いです。
着方にご不安な方はぜひご活用くださいませ。
 ↓
木下着物研究所YouTubeチャンネル
最後になりましたが、今年一年誠にありがとうございました。
新年もまたこちらのブログでお目にかかれましたら幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。