待望のオリジナルの袋帯の新作「本袋 鱗紋 鼠濃淡」をお届けします!
オリジナルの帯は名古屋帯は多数。どうしても袋帯は少なめになりがちです。
袋帯が嫌いなわけではないし、茶道を嗜む女将紅子自身は決して袋帯を結ぶ機会が少ないわけではありません。
長年模索していたところ、今回は願っていたような袋帯を作ることができました。
それもただの袋帯ではありません!「本袋」(ほんぶくろ)という仕様の袋帯になります。
端的にこの袋帯を製作した際のポイントは以下の通りです。
一つ目
とにかく軽いということ
二つ目
圧倒的な使いやすさ(結びやすさ)
今回はこの二つのポイントを抑えるべく、現状ごく少量しか製織が行われない、至高な技法で帯を製織して頂きました。
それぞれのポイントについてご説明してゆきましょう。
【軽いということ】
年齢を重ねると、軽い帯が欲しくなります。
この場合の軽いとは2つの意味合いがあります。
①物理的な重さとして軽さ
②見た目的な軽さ
①は帯の技法等によっても異なりますが、昨今は物理的に軽めの帯が好まれるようになっているように感じます。軽いは正義!
②は、これはお人によると思いますが、見た目的に軽めの袋帯って需要が高まっているように感じます。
きちんとフォーマル感の強い"重め"の袋帯は、金銀がたっぷり使われていて、華やかで素敵ですよね!
しかし、フォーマル度合いが高めの帯は、主たる目的はフォーマル限定。
一方で"軽めのフォーマル"にも、それ以外のシーンで活用できる、もう少しライトテイストの帯は意外と少ないというのが現実です。
今回の帯は、一般的な袋帯よりも幅広いシーンで締めていただけるように、「ライト」にしました。
物理的にも軽くて「ライト」!そして、金銀糸を最小限にすることで「ライト」なテイストに仕上げました!
格式ばらない披露宴やウェディングパーティなどのフォーマルの席、お茶会や改まったお食事会といったセミフォーマルシーン、美術館や気軽なお出かけなどのカジュアルでもお締め頂けます。
また、着物は、「ライト」なフォーマルとしての訪問着や付下を始めとして、色無地、江戸小紋、小紋。そして、紅衣流としてはスーツ生地の着物にも合わせて頂きたいです。
【帯を道具として捉えた場合の使いやすさ(結びやすさ)】
先述の軽さ、そして結びやすさを叶えるために、さまざまな技法を検討しましたが、
今回は、「本袋」という技法を選びました。
本袋とは:
表側の生地と裏側の生地とが、一枚の生地で筒状に織られています。
通常の袋帯は表の生地と裏の生地を別々に織り、縫い合わせて袋状に仕立てたもの。
しかし本袋は、帯を織っている時点で袋状に織られています。
上側の表生地を織る
→
下側の裏地を織る
→
以下繰り返し
回転しながら本袋の帯は織ってゆくわけです。
縫い合わせて袋状に仕立てる袋帯が一般的ではありますが、
本袋は、大きなメリットがございます。
筒状で織り上がるため、縫い合わせ部分なし=縫い目なし
→縁が薄く薄手の帯となり、軽くてしなやかに、より体に添いやすい
表地と裏地を同時に織る
→張力があっているので、
表と裏の伸縮性の違いによるたわみや、凸凹や膨らみがで出ず、より体に添いやすい
※一般的な袋帯は表裏が異なる生地のため、経年によりズレが発生しやすい
本袋は着用者側のメリットが大きい帯ではございますが、生産量はかなり少ない状況で今後はなくなってしまう可能性のある帯です。
その理由は、製織する際の難しさ、この一言に尽きます。
・織っている時は裏面が表に来るため柄の確認ができず、キズに気づくにくい
・柄のある表と無地の裏を同時に織る難しさ
作り手側は、縫っている袋帯の方が格段に作りやすいですし、コストを比較すると安価に作ることが可能です。
今回、京都/西陣織で製織していますが、職人さんもご高齢ということもあり、この先何年できるか分からないというのが実情です。
(紅衣のオリジナル商品の多くはできるだけ若手の職人さんにお願いしていますが)こちらの本袋は技術的な面でこの職人さんにしかお願いできません。
今回、この至高の技法にこだわって今回お願いしたのは、本当に良い帯を皆さんに手にして頂きたいという思いからです。
【柄行き】
袋帯である以上、柄行きの確かさというのも大切なポイント。
きちんとした大切なシーンで結ぶ帯ですから、ある程度の文様の重みや、意味合いを表現できる柄行きであることもポイントとして外せません。
今回は、鱗紋(うろこもん)を用いました。
鱗紋とは:
三角形が交互になった幾何学連続文様。
魚や蛇の鱗に見立てて鱗文と言われます。
鱗で身を守ることから厄除けの意味もあり、厄年の方が鱗文様のものを身につけると良いとも言われています。
鱗文は有職文様の一つでもあり、意味合いのある奥行きのある文様です。
長い年月をかけて愛されている文様は、デザインとして年月をかけてブラッシュアップされていて、完成度がとても高いです。
シンプルでクールな印象ではありますが、ある程度の重みをきちんと感じていただける、そんな帯でございます。
1人の着物のヘビーユーザーとして、また、商品企画をする両方の役割を持つ女将紅子は、常々木下着物研究所好みの帯が欲しい、ここ数年思ってきました。
今回は、好みの柄行き、そして色合いでやっと作成することができ、発表させていただきます!
【価格について】
今回、本当に良い帯を皆さんに締めて頂きたいという思いから、この品質としては通常ではご紹介できない価格を設定させて頂きました。
帯を結んでいただくと、その体感の違いをきっとご理解いただけると思います。
【着用シーンや合わせる着物】
■着用シーン
格式ばらない披露宴やウェディングパーティなどのフォーマルの席、お茶会や改まったお食事会といったセミフォーマルシーン、美術館や気軽なお出かけなどのカジュアル
■合わせる着物
訪問着、付下、色無地、江戸小紋、小紋、スーツ生地の着物
【商品の仕様】
■着用時期
盛夏(7、8月)を除くスリーシーズン
■素材
絹100%(金属糸使用)
■帯の仕様
袋帯
■産地
西陣織
■サイズ
袋帯 お仕立て後のおおよそのサイズ
長さ :約4m45㎝以上(1丈1尺7寸5分)※もう少し長くも可能
幅 :約31㎝(8寸2分)
■納期について
ご注文いただきましてからのお仕立て
納期は以下の通りです。
・お仕立てのみ :約1ヶ月前後
・ガード加工とお仕立て :約1ヶ月半前後
※ガード加工はオプションでお選びいただけます。
※お使いのモニターの発色具合によって、実際のものと色が異なる場合がございます。
・ご購入に際してのお願い
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