「なぜ茶道に着物は必要か?心を表す装い」暮らしと着物を愉しむコラム『今こそ“着物”』VOL.18 都田恵理子さん
食や美容などライフスタイルの分野で活動する都田恵理子さん(ローフード研究家)による暮らしと着物を愉しむコラムを月に1回お届けしています。
今回は、「なぜ茶道に着物は必要か?心を表す装い」をお届けしたいと思います。
気温がぐっと冷え込んでまいりました。この季節から、お茶のお稽古場が11月から炉に変わります。
この炉の時期は、炉開きと呼び、封を切って開けたばかりのお茶を飲む「茶の正月」です。亭主と客が心を一つにして、季節の到来を味わうのが何よりの愉しみです。
さて、この頃に合わせ開催されるのが、流儀の目指す正しい作法や価値観を宗匠から教わる茶道の講習会。
その最後には、教授者を目指す立場にある受講者が、宗匠に質問をすることができるのですが、受講者から寄せられたものには、実践的な稽古の内容のほか、着物についての疑問が上がりました。
「どうして茶道では着物を着なけれなならないのでしょうか」
この問いかけに対して宗匠は、
「もちろん、洋装も構いませんが、同じ時間を有意義にするためにも雰囲気を演出することは大切です。和は、ハーモニーといって調和することですよね。」
教える身であれば、初心者にこのような質問を受けるかもしれない、また、熟練するほどにこういったことを疑問にも持たないかもしれない。
歴史をたどると、茶の湯、茶道に着物がどのように影響を与えてきたかは、様々なものから派生していると思いますが、こういうテーマを考える場があってもいいですよね。
良い亭主、良い客として、互いに相手への配慮を感じて、より美味しくお茶やお菓子をいただきたい。そういったところまで、心が行き届く豊かさに気付いて、着物を楽しめる気持ちを持てたらと思います。
これは、ビジネスの世界にも通じるものでもあります。お相手の品格を崩すことのない心遣い、それこそが和の文化の魅力。
そこには今の時代に、着物がポジティブに広がっていくヒントがあるかもしれないなと感じています。
※こちらのコラムは、毎月1回配信してゆきます。
【プロフィール】
都田恵理子(みやこだえりこ)ローフード研究家
オーガニック業界での広報職を経て、体にやさしい食や美容を専門に情報発信を手がける。madame FIGARO.jp などで活動。譲り受けた和装小物や日本の伝統文化に触れ着物に関心を抱く。