「夏の日の、おもてなし」『今こそ“着物”』VOL.38 都田恵理子さん

食や美容などライフスタイルの分野で活動する都田恵理子さん(ローフード研究家)による暮らしと着物を愉しむコラムを月に1回お届けしています。

今回は、「夏の日の、おもてなし」をお届けしたいと思います。

つい最近、イタリアの料理家の方のお食事会にお招きいただきました。

今回は暑い季節のレシピがテーマ。きっと、その日のために食材を選び、器を合わせ、時間をかけて準備してくださったのだろうと思うと、私もそのおもてなしの気持ちに応えたくなり、夏の着物で伺うことにしました。

到着すると、「着物で来てくださる方は初めてです!」と、笑顔でとても喜んでくださったのが印象に残っています。

料理の世界でも、おもてなしは細やかな心配りの積み重ねです。

旬の野菜は、それぞれの持ち味が生きる調理法で仕上げられていて、彩りを引き立てる器に盛り付けられていました。見た目にも美しく、おいしく、その心地よい時間の全てが心に残る内容でした。

こうした考え方は、私が茶道で学んできた「おもてなしの心」にも通じています。

相手を思いながら、季節を感じ、自然の恵みを味わっていただくという、その心は、料理にも、着物にも共通して流れているものではないでしょうか。

食事会の日に、着物で食事会に伺ったことは、招いてくださった方へのささやかな敬意の表現でしたが、その気持ちを心から喜んでいただけたのは、今でも忘れられない出来事の一つです。

着物は特別な日のものと思われがちですが、日常のなかでもその機会を大切に思う気持ちと好相性で、招いてくださった方と距離を縮め、心を通わせるきっかけにもなります。

着物もまた、相手を思う気持ちを伝える「おもてなし」なのだと、深く感じた一日になりました。

 

※こちらのコラムは、毎月1回配信してゆきます。

【プロフィール】

都田恵理子(みやこだえりこ)ローフード研究家

オーガニック業界での広報職を経て、体にやさしい食や美容を専門に情報発信を手がける。madame FIGARO.jp などで活動。譲り受けた和装小物や日本の伝統文化に触れ着物に関心を抱く。