「茶席で気づいた“着物と私” 」『今こそ“着物”』VOL.34 都田恵理子さん

食や美容などライフスタイルの分野で活動する都田恵理子さん(ローフード研究家)による暮らしと着物を愉しむコラムを月に1回お届けしています。


今回は、「茶席で気づいた“着物と私” 」をお届けしたいと思います。

先日、北鎌倉・東慶寺の茶室、寒雲亭で開催された月釜「水月会」に参加いたしました。3月を担当されたのは、三斎流観翠庵 理事 梅村尚子先生。

お点前は長板を使い、武家茶道ならではの格調を感じるものでした。1席目の点前を披露されたのは、日頃からお世話になっている木下勝博さんです!

私は女将の紅子さん、勝博さんのお弟子さんと一緒に参加させていただきました。茶席は本来、着物で臨むものですが、その時は前日に着物を準備していたにも関わらず、洋服で出席しました。

洋服で足を運んだのには理由がありまして、普段の茶道のお稽古では、着物を着ることに慣れること、手順をスムーズに進めることに重きを置いていました。ところが、実際の茶席に座るとなると、

「付下か、色無地か」
「帯は袋帯か名古屋帯か」
「目立たないように好きな着物は避けるべきか」

頭では分かっているつもりでも、現実の茶席では迷いや不安がよぎります。そして、洋服での参加で余計に、着物の奥深さを改めて感じました。

ところが茶室の中をよく見ると、周りや水屋の方は「今日を楽しもう」と思い思いの着姿で、自然に素敵でした。春らしく明るい色合いの方、控えめな柄を選んでいる方、好きな色や柄を着こなしている方。それぞれの姿に、心が和みました。

月釜のあと、東慶寺のすぐ横には素敵なカフェがあり、紅子さんとそこで少しお茶をいただきました。私の「迷いと不安」の相談を耳にした紅子さんからは、こんなアドバイスをいただきました。

「自分が心地よくいられる着物を着るのが、一番素敵ですよ」

私の肩の力がふっと抜けるようでした。着物の作法も大切ですが、この日のような場合には「自分が心地よいこと」も同じくらい大切。また、迷いや不安も着物と向き合う楽しさの一部なのだと、実感した一日でした。

※こちらのコラムは、毎月1回配信してゆきます。

【プロフィール】

都田恵理子(みやこだえりこ)ローフード研究家

オーガニック業界での広報職を経て、体にやさしい食や美容を専門に情報発信を手がける。madame FIGARO.jp などで活動。譲り受けた和装小物や日本の伝統文化に触れ着物に関心を抱く。