「世界に選ばれる和文化の素晴らしさ」暮らしと着物を愉しむコラム『今こそ“着物”』VOL.17 都田恵理子さん
食や美容などライフスタイルの分野で活動する都田恵理子さん(ローフード研究家)による暮らしと着物を愉しむコラムを月に1回お届けしています。
今回は、「世界に選ばれる和文化の素晴らしさ」をお届けしたいと思います。
先日、銀座で世界に知られる化粧品会社のショールームを訪れました。常に世界のトレンドを走るCMでお馴染み、日本のスキンケアブランドです。
一歩踏み入れると、そこには思いがけず日本文化を意識した凛とした空間が広がり、楽茶碗や漆塗りの棗を思わせる宇宙を表現した漆黒のパッケージが並んでいました。
さらに、驚いたのは、商品に添えられた1000年以上の歴史を持つ西陣織の細やかな絹糸に金箔糸をからめたオリジナルポーチ。そこに包み込まれた容器が和の趣を漂わせながらもモダンな印象を残していました。
また、次に向かった先は、グローバルスキンケアブランドの店舗。最高峰ラインの発売を記念したパッケージデザインが新登場。
こちらは時を重んじる、伝統的な金継ぎの美学にインスパイアされたという新たなスキンケアコンセプト。金に繕われた白磁のようなパッケージの佇まいが表現するのは、時を経て育まれた肌そのもの。
美容の新しい価値観を提示しているとのこと、目を奪われました。
どちらも世界で日本代表として活躍するブランドです。贅沢な美容体験を叶えてくれる自信に満ち溢れ、日本の格調高い伝統を掛け合わせたアート作品のようでした。
2つの日本ブランドがこれほどに和の文化を深く掘り下げること、驚いたという方も多いのではないでしょうか。
細やかな伝統を生かしながらも、肌を育む美容から日本の美しさを未来に紡ぐ世界的なスケール感が感じられます。
裏を返せば、今、グローバルで求められるのは、私たちが触れている伝統文化の素晴らしさなのだと思います。
※こちらのコラムは、毎月1回配信してゆきます。
【プロフィール】
都田恵理子(みやこだえりこ)ローフード研究家
オーガニック業界での広報職を経て、体にやさしい食や美容を専門に情報発信を手がける。madame FIGARO.jp などで活動。譲り受けた和装小物や日本の伝統文化に触れ着物に関心を抱く。