「豊かさと新しい出会いを繋いでくれる着物」暮らしと着物を愉しむコラム『今こそ“着物”』VOL.7 都田恵理子さん
食や美容などライフスタイルの分野で活動する都田恵理子さん(ローフード研究家)による暮らしと着物を愉しむコラムを月に1回お届けしています。
今回は、「豊かさと新しい出会いを繋いでくれる着物」をお届けしたいと思います。
いつもは、茶道に代表されるようなお席のマナーに合わせた着物の装いが多いのですが、年末年始の時期になると登場する古い着物があります。
着物が身近になるほど譲り受ける機会が増えてまいります。みなさんも、このような経験はありま せんか。美しい手仕事とどこか懐かしさが漂う着物を眺めるのは楽しく、長くお付き合いをして いきたいものですよね。
しかし、いざ手にしてみると「どう合わせると今っぽいの?」となり、そんな状態で開いたのが 木下着物研究所の著書『あたらしい着物の教科書』177頁 [古い着物でこなれる]の箇所です。
早速、“古着を現代風にコーディネート”を参考に、王道の色づかいの着物に明るい色のモダンな帯 と帯揚の色を重ねてみると、見事にまとまりました!
そういえば、【紅衣オリジナル】には、「博多織八寸名古屋帯 鱗菱」に空色とミント色(受注 期間終了)がありますが、幅広く多くの着物に締めることができることで好評だそうですよ。
古典文様の鱗文様を菱になるよう配した帯は、形や配色、織り方を調整し、柄の凹凸をより印象 的にみせてくれるとのこと。しかも丈夫。戴き物でもシンプルな着物でも合わせやすくなってい るという頼もしい帯なのだそう。
このように、クリーンな色のパワーと実用性を持たせることで、末長く一緒にいられるメリット を感じられる博多帯。マンネリコーディネートの悩みも解消してくれそうです。
さて、普段からオーガニックに携わる私の仕事は、自然や生活環境において長期的な持続可能性 を目標とする社会の取り組みに注目しますが、伝統的なコトやモノを継承して大切にすることこ そが、本質的なラグジュアリーであったり、心の豊かさだということを痛感します。
これは、木下着物研究所の代表 木下さんと女将 紅子さんと同じように、私も出向くことのある オーガニック先進国イギリスで、暮らすように現地で過ごして気づかされた発見のひとつ。
歴史的建造物やヴィンテージショップの多さを証に、伝統や歴史を刻んだものに手入れをしなが ら価値を見い出すという、このような考え方は着物にも通じる素敵なことだと思います。
遂に今年も終わりますが、新年も引き続き憧れの着物生活への近道を探り、みなさまとともに着 物を未来へ繋いでいきたいと思います。
※こちらのコラムは、毎月1回配信してゆきます。
【プロフィール】
都田恵理子(みやこだえりこ)ローフード研究家
オーガニック業界での広報職を経て、体にやさしい食や美容を専門に情報発信を手がける。madame FIGARO.jp などで活動。譲り受けた和装小物や日本の伝統文化に触れ着物に関心を抱く。