「心地よさで満たす、暮らしのなかの季節感」『今こそ“着物”』暮らしと着物を愉しむコラム Vol.2 都田恵理子さん

今月より食や美容などライフスタイルの分野で活動する都田恵理子さん(ローフード研究家)による暮らしと着物を愉しむコラムを月に1回お届けしています。

2回目の今回は「心地よさで満たす、暮らしのなかの季節感」です。



今回は「心地よさで満たす、暮らしのなかの季節感」をお届けしたいと思います。

日本の季節感をとても大切にする浴衣や夏着物。涼やかな紅子さんの着姿に魅了されたという方も多いはず。夏は高温多湿であるために、昔から少しでも軽やかに過ごすための工夫が暮らしに根づいています。



気が引けるような暑さには、私たちの体も思うようにいきません。美容や健康に深く関わる仕事をしている私は、夏こそ、食でコンディションを整えることが大切だとお伝えしています。

この時期は、体内も活性化されますので、それを調整するのはフレッシュな野菜と果物、古来の発酵食品など。良質な食事で体の内側からバランスをとっていきます。


ちょうど先日、木下着物研究所を訪れてお話を伺う機会がありました。清々しい日本家屋の開放感のある広い縁側は、ゆるやかな風を通していかにも涼しそう。茶室にも足を踏み入れました。

そして、なんと紅子さんが大徳寺弁当を手づくりしてくださいました。しかも、自家菜園で育てられた野菜を発酵調味料で味付けしたお料理です。

おいしいのはもちろん、体を気遣ってくださって、そっと涼を添える盛り付けに大喜び。衣食住を通じて、紅子さんの四季との上手な付き合い方に釘付けになりました。

かつては、暑いとついつい洋服で過ごしていましたが、こうして着物を通じたご縁に恵まれたのは、本当に幸せなこと。今では、浴衣や着物で出かけるまでにずいぶんと成長できたような気がします。



さて、夏の装いで私が好きなのは爽やかな柄行の帯。自然美を表現するものや吉祥文様を選びますが、木下着物研究所の著書『新しい着物の教科書』-着物と帯の文様いろいろ- によると、オールシーズン着られる柄や文様もあるのだとか。

先日「2023年ラグビーワールドカップ フランス大会」に向けた日本代表チームの新ジャージが発表になりました。ご覧になりましたでしょうか。前モデルのデザインから和柄の“幸運を呼ぶ”を意味する「吉祥文様」を継承しているそうです。世界に立ち向かう情熱に日本文化の奥深さを発見して嬉しくなりました。

これからが夏本番、みなさまにおかれましても充実した夏をお迎えになりますようお祈りいたします。

※こちらのコラムは、毎月1回配信してゆきます。


【プロフィール】

都田恵理子(みやこだえりこ)ローフード研究家

オーガニック業界での広報職を経て、体にやさしい食や美容を専門に情報発信を手がける。madame FIGARO.jp などで活動。譲り受けた和装小物や日本の伝統文化に触れ着物に関心を抱く。