太古の蓮を見ながらの茶会【くらしのこよみ友の会より】
[こちらは「くらしのこよみ 友の会」に2021年7月31日に寄稿させて頂きました記事の転載になります]
鎌倉の古民家で毎日着物生活、木下着物研究所の木下勝博・紅子です。
今年の夏も不安定な日々が続いておりますが、先日お近くの光明寺さんで蓮を観ながらお茶を頂く機会に恵まれました。
光明寺さんは、正式には天照山蓮華院光明寺といい浄土宗の大本山です。創立は鎌倉時代の寛元元年で西暦1243年といわれています。浄土宗の大本山で東日本にあるのは、芝の増上寺、長野の善光寺とこちら。
禅宗の多い北鎌倉の寺院とは異なり、鎌倉の海辺の東側の材木座海岸に面しており、また浄土宗らしい明るい雰囲気のお寺さんです。
上記の写る本堂は元禄年間建立の重要文化財。現在は10年以上を予定している大修復中のため囲いがされてしまっていますが。
今回は観蓮会という年に一回開催される蓮を観ながらの茶席に参加させて頂きました。
お名前に蓮華院とあるだけあって、毎年美しい蓮を目にすることができます。
小堀遠州作庭という記主庭園では、今年はもう咲き終わってしまったと言うことですが、弥生時代以前の蓮の実から咲いた大賀蓮を受け継ぐ蓮が咲いています。
蓮の池の前に建つ大聖閣は、法然上人800年大遠忌を記念して建てられた木造二階建ての建物。二階部分は八角形で屋根には鳳凰が見えます。京都では平等院の鳳凰堂、金閣寺の舎利殿、銀閣寺の観音殿などでも見られますが、鎌倉では光明寺の大聖閣のみだそうです。
一階の広間にて北鎌倉の裏千家の社中の皆様から美味しいお菓子(北鎌倉のこまき製)とお抹茶を一服頂きました。昨年は中止になったものの今年は感染予防を徹底した中での貴重なひと時。
この一年半以上、お茶会に参加することもなくなっていたため、久しぶりに一服頂きながら、窓辺から蓮と海の向こうに広がる青空に吸い込まれるようでした。
お抹茶を頂いた後は二階に昇り、安置されている阿弥陀三尊像に手を合わせ、1日も早くこの混乱が収まることを祈りました。