「この小さい布ってナニ??」『難しいを難しくないに!』Vol.9 【女将紅子コラム】

月に一度、女将紅子が仕立てや和裁の基本、お客様からのよくある質問などをコラムでお届けします。

『難しいを難しくないに!』をモットーに、着物作りに役立つ知識を分かりやすく解説し、着物ライフをもっと楽しくするお手伝いをいたします。ぜひご活用ください。

 

第9回目は

「この小さい布ってナニ?」

をお届けします。どうぞ最後までご覧くださいませ。

新しい着物をお仕立てするとき、着物とともに、小さい布を渡されませんか?
この渡された「この小さい布ってナニ?」
そういう風に思ったことありませんか?

本日のテーマは、
「この小さい布」です。

この布は、残布(ざんぷ)とか、余り裂とか、残り布とか、さまざまな名称がございます。
つまり適当に呼ばれているってことですね。




洋服を購入した場合、タグと一緒に小さい布が付いていることもありますが、
最初に着物を作って、これ、残布です!と布を渡された時は、驚きました。
もちろん物によって残る布の分量は変わりますが、ある程度の長さがある布が返却されるのはどうしてだろう??と思いました。


①何故?
②これどうするの?
③活用法はあるの?

この3点を解説してゆきますね。

①何故?
着物は、新しいものをお作りいただく際は反物をお選びいただき、そして仕立ていたします。
つまり生地と仕立てはそれぞれに承っていることになり、つまり生地を全てご購入いただいたことになりますので、余ったら持ち主さまにお返しするということになります。
元々布は貴重なものでしたので、その名残もあるとわたくしは理解しております。

②これどうするの?
捨てずに保管してください!
例えば、何かで引っ掛けて破いてしまった、などの事故が起こった際も、残布があれば、かけはぎという、お直し方法を取れることもあります。
その他の活かし方は、活用方法でご紹介します。

③活用法はあるの?
よくお尋ねいただきます!!

・残布のアイテムに何か別なアイテムをお選びいただく際、便利です!
着物に合わせて帯を購入したい!帯に合わせて小物が欲しい!そんな時に残布があれば、重たい現物をお店に持ってゆく必要はありません!!

これが一番多い活用法ですね。

また、残布は畳紙に入れておく必要がないので、特に着物が残布の場合ですが、コーディネートを考える際に手軽に持ち出せて、便利です。


・何かに作り替える
生地がすごく余っている場合は、例えば
鼻緒を作る(5cm×40cmほどあれば可能)
手芸がお得意な方であれば鼻緒留めや、何か袋ものを作るなど
活用することも可能です。

活用したくなるお気持ちは分かりますが、
無理に何かに使わずとも、本来のと申しますが、一番多い活用法があるので良いと思います。


ちなみにわたくしは、
身長が高い(165cm)ので、綿麻や浴衣などはほとんど余りません。
絹の素材は、最近長いものも多く、余れば鼻緒を作ったり、
数寄屋袋を作ってもらうこともあります。
あとは職業柄ですが、色見本として様々な配色に役立てることも。
ですので、あまり無理して使わないことも多いです。



着物を初めて作ったとき、返却されてびっくりしたこの小さな布。
こんな意味や役割がありました!!

こういう小さなことも、知ればなるほど!と思いますし、着物愛が深まりますよね。
今月は「この小さい布ってナニ??」、小さなテーマでお届けしました。