武家茶道と刀-細川三斎と歌仙兼定-

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細川忠興(三斎)という戦国武将をご存知でしょうか? 晩年、細川三斎とも呼ばれます。

茶道の世界では、利休七哲つまり利休の七人の弟子の一人として知られており、千利休が豊臣秀吉より追放を明示された際に危険を顧みず、同じく弟子の一人である古田織部と見送った逸話によく知られています。また、その奥方は戦国時代の伝説の美女・細川ガラシャ、本能寺の変をお越した明智光秀の娘としても有名です。

歴史や茶道に明るくない方でも、細川護煕元首相のご先祖様と言えば分かりやすいでしょうか。先日の熊本の地震で大きな被害のあった肥後熊本城は細川家の城でもありました。今、熊本城の復興に細川護煕元首相は尽力されていらっしゃいます。

さて、話は刀の話に移ります。今、巷ではこの細川忠興(三斎)の愛刀であった「歌仙兼定」という刀が若い女性に人気だということを皆さんはご存知でしょうか?

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今、目白の永青文庫では、十月二日まで「歌仙兼定登場」という展覧会が開かれています。
室町時代後期の美濃国(現在の岐阜県)を代表する刀工である二代兼定によって打たれたものです。その名は、細川忠興(三斎)の息子の細川忠利の施政が忠興の意にそぐわず、側近を呼んでこの刀で三十六人を成敗したことから、(平安時代の和歌の名手三十六人である)三十六歌仙になぞらえた言われます。
実際の三十六人を成敗したのかどうかはともかく、激情型の性格だったと言われる細川忠興(三斎)らしいエピソードだと言えます。

前置きが長くなりましたが、この「歌仙兼定」がなぜ若い女性に人気かと言うと、「刀剣乱舞ONLINE」というゲームに擬人化された「歌仙兼定」というキャラクターが出てくるそうなのです。ゲームに全く知見のない私はつい最近まで存じ上げなかったのですが、この「刀剣乱舞ONLINE」のキャラクター「歌仙兼定」は相当なイケメンで多くのファンを持つそうです。
そのため、今回永青文庫で開かれている「歌仙兼定登場」展には、「歌仙兼定」ファンの多くの若い女性が訪れているというのです。

永青文庫と言えば、少し前に「春画展」を開催し大きな話題となりました。歴代の細川家当主がそうであったように時代の流れを読むことに長けた細川護煕元首相らしく、今回の企画も今までの美術館にはなかったアプローチです。実際に昨日永青文庫に行くと、私の滞在中、館内には男性は私のみ(もちろん着物)。かつて、永青文庫と言えばご年配の方が多く、男性も見かけることも多かったのですが、全く異なる客層にびっくりしました。
本物の「歌仙兼定」を前に涙する来場者もいると聞いていたのですが、私たちの来場の際にもそういう方がいらっしゃいました。

近年、歴史好きの女性=レキジョが増えているという話をよく聞きます。こう言うことが興味のきっかけになるのかと膝を打ちました。

ところで細川忠興(三斎)を始祖とする茶道の流派が残っています。三斎流と言い、利休の時代の点前が残されていると言われる流派です。

同時代の茶人の古田織部が千利休の茶を独自に発展させたとすれば、細川忠興(三斎)は千利休の茶を忠実に残したと言われます。
この三斎流、とても武士らしく、まさに「歌仙兼定」の太刀を振るうような直線的な点前が残されています。

なかなかご覧になられる機会がない三斎流の点前ですが、明日九月三日(土)十四時よりに日本橋三越4階の特設ステージにてご覧頂く機会がございます。
「武家茶道と男のきもの」と題しまして、茶道・三斎流 観翠庵理事の梅村尚子先生をお招きし、武家茶道と男のきものについて私がお話を伺います。この中では細川忠興(三斎)から伝わる三斎流の点前のデモンストレーションも梅村尚子先生から解説をして頂きます。

ぜひ、この点前から「歌仙兼定」の太刀を振るう細川忠興(三斎)を想像してみて頂ければと思います。多くの皆様のご来場を私自身の等身大パネルとともにお待ちしております!

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「武家茶道と男のきもの」トーク&デモ(参加無料)
日時:9月3日(土)14時〜15時
ゲスト:茶道・三斎流 観翠庵理事 梅村尚子先生
進行: 木下勝博 木下着物研究所
場所: 日本橋三越本館4階 特設コーナー
内容: 利休の教えを忠実に伝えたと言う戦国武将・細川忠興(三斎)を流祖とする武家茶道。三斎流を伝える家に生まれた梅村尚子先生にお話を伺い、武家らしい点前も解説して頂きます。7階では「千家十職の軌跡展」が行なわれています。茶道にご興味がある方は是非ご来場ください。

平成二十八年八月二十五日
【旧暦七月二十三日/大安(己卯)】

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