日本橋三越にて等身大パネルがお待ちしております!

20160825_mens2

全国の百貨店から呉服売場がなくなってゆく中でも、広い呉服売場が低層階にある日本橋三越。足を運んで頂いたことはありますでしょうか?

日本橋三越の本館4階の呉服売場には、男の着物のコーナーがあり全国的に見ても角帯のバリエーションなどでは全国指折りの場所です。ただ、その敷居の高さから残念ながら私の周囲の着物好きの方でも行ったことのないという方も少なくありません。

さて、昨日その日本橋三越の本館4階「男のきもの」が装いを新たにしました。
このリニューアルを記念して、周辺売場が二週間限定の特別な設えになり展示スペースが設けられています。写真を見てお気付きの方もいらっしゃるかも知れません。私の着物姿の等身大パネルが六つのコーディネートで紹介されています。
一般のファッション誌にも着物が紹介されることは少なく、多くの方がイメージを持ちづらいアイテムです。今回は毎日着物生活をしている私のリアルなワードローブでイメージを持って頂ければと思います。今まではなかなか足を踏み入れづらかったこの場所に、少しでも多くの方に関心を持って頂けると嬉しいです。

今回の日本橋三越「男のきもの」のリニューアルでは、ショップレイアウトや冒頭の展示モデル、週末のイベントなどに加えて、三越伊勢丹のオリジナル企画商品のディレクションのお手伝いをしています。

20160825_mens04

今回の売場の新商品として、一つの目玉は”スーツの生地”を使ったウールの着物です。

着物の世界では、ウールというとどうしてもシルクよりも一段下の扱いで、普段着という扱いになってしまっていました。事実、着物用のウールは厚手で素材としても見た目も素敵だと思えるものは巡り合ったことがほとんどありません。
一方、現代では多くの男性がビジネスシーンやフォーマルに準ずるシーンでもウールのスーツを着用しています。一般的にウールという素材自体をカジュアルで安価とは考えていないと思います。そこで今回は歴史ある日本橋三越の「男のきもの」として、改めて多くの男性に着物に関心を持って頂き、デビューして頂きたいという思いからスーツ生地という素材に注目し着物として提案することにしました。

20160825_bisyu02
<毛織物は国の伝統的工芸品に指定されていませんが、技術は工芸品レベル。現場を見るとそれが良くわかります。>

シルクよりも格下の着物という位置付けではなく、まさにスーツの感覚で着て頂ける着物の提案として、毛織物の一大産地である尾州(愛知県)の老舗の織元さんにご協力頂き、上質なウールの着物を日本橋三越(+伊勢丹新宿本店)にてご紹介させて頂くことになりました。
伊勢丹のメンズ館でもスーツとしてご紹介されている生地と同じ尾州毛織(ウール)の織元さんの生地で着物を誂えるができます。その上質さは実際に手にとって触れて頂くだけで容易に分かります。それでいて、コストは上質なスーツ並みの価格に抑えています。

20160825_nisijin
<西陣織の織元「紫紘」さんでの打ち合わせ風景>

スーツと言えば、大切なのはネクタイです。今回はスーツのように着られる着物をコンセプトとするならば、やはりネクタイが必要です。
幕末にネクタイが日本に入ってきた時にネクタイを「衿帯」と言ったそうです。男の着物にとって、角帯はまさにネクタイのようなもの。今回はネクタイ感覚で使えるお洒落な角帯を作ることがポイントとなりました。

20160825_mens03
<ウィリアムモリス柄のリバーシブルの角帯>

三越伊勢丹さんのバイヤーさんとともに京都・西陣織の織元さんを訪ね、どういった技法を用い、どんな柄をどんな色で織るのか議論を進めて行きました。今回、選んだのは19世紀のイギリスのモダンデザインの父であるウィリアム・モリスの柄です。壁紙などでも有名です。議論の途上では、かなりビビッドな色目の配色も検討しましたが、今回は日本橋らしくまずは写真のシックなところからのスタートです。(全三色展開)

もともと越後屋呉服店から始まった老舗百貨店の三越日本橋本店。実はそれぞれの時代において様々な革新を生んできた場所でもあります。
着物が日常から遠くなった現代、この日本橋から着物を提案するのであれば、伝統的な日本の技術を生かしつつ、いまの文脈の中で日本橋三越らしい提案をすべきと考えました。それが今回の尾州毛織のスーツ生地の着物と西陣織のネクタイ感覚の角帯です。

着物に興味のある方もそうでない方も、ぜひ日本橋界隈にお越しの際にはご覧頂きたいと思います。

20160825_mens05

少し宣伝をさせて頂きますと、会場では昨春に改訂版が出ました拙著はじめての男着物(河出書房新社)もご紹介頂いています。もっと男着物のことをもっと知りたいという方は是非こちらからどうぞ。

また、週末にはトークイベントも予定しており、二週間連続でイベントの時には皆さまにお会いすることができると思います。今週末はお洒落にカッコ良く着物を着るポイントを帯の結び方の実演を交えて行います。また、来週末は武家茶道と男着物について、ゲストを交えてトークとデモンストレーションを行います。多くの皆さまのご来場を心からお待ちしております!

<日本橋三越イベント>

「How to 帯結び」講座(参加無料)
日時: 8/27(土), 28日 各14時〜
講師: 木下勝博 木下着物研究所
場所: 日本橋三越本館4階 男のきもの
内容: 男の着物の着付けの中でも特に帯結びに焦点をあててお話しします。浴衣の着付にもすぐ使える帯結びもお伝えいたします。

「武家茶道と男のきもの」トーク&デモ(参加無料)
日時:9月3日(土)14時〜
ゲスト:茶道・三斎流 観翠庵理事 梅村尚子先生
進行: 木下勝博 木下着物研究所
場所: 日本橋三越本館4階 特設コーナー
内容: 利休の教えを忠実に伝えたと言う戦国武将・細川忠興(三斎)を流祖とする武家茶道。三斎流を伝える家に生まれた梅村尚子先生にお話を伺い、武家らしい点前も解説して頂きます。7階では「千家十職の軌跡展」が行なわれています。茶道にご興味がある方は是非ご来場ください。

平成二十八年八月二十五日
【旧暦七月二十三日/大安(己卯)】

Instagram 【着物・和装】