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熊本地震が発生してちょうど一ヶ月経つ先々週末、熊本・阿蘇に行ってきました。

毎秋、熊本の南阿蘇の農家さんからお米を送って頂いています。日本の田舎の山間などでよく見かける小さな田んぼでは、農業機械が使えず手作業で田植えをする必要があるものの、高齢化と共に負担が大きくなり放棄されてしまう田んぼが多数あると聞きます。
数年前より熊本出身の友人からの誘いで少しでも協力したいと支援させて頂くようになりました。毎年田植えと稲刈りに誘って頂いていたのですが、昨年までは前職の仕事都合もあり行けていませんでしたが、今年は夫婦そろって行こうと数ヶ月前から決めていました。
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<阿蘇大橋の近くの町中で被害にあった家屋、被害の大小は場所によってかなり差があるように感じました>

ところが一ヶ月前には今回の熊本地震が発生。各種メディアの報道で上記のような悲惨な被害の映像や写真を見ていたので、さすがに田植えどころではないだろう、震災ボランティアとして行っても逆にご迷惑をお掛けするのでは・・・などと、直前まで訪ねるのかどうか迷っていました。
ところが、実は地元の農家さんは例年以上にやる気で、今年は地元の方が被害の影響でお手伝いできる方が少ないということで、宿泊が取れるのであれば是非来て欲しいとのことでした。

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<熊本空港近くの上空から見た街並み。ブルーシートが掛かっているのは、瓦が崩れたなどの被害で全壊していない証拠であることは降り立ってから分かりました。>

実際に熊本、阿蘇の街に着くまでは、TVや各種メディアのイメージから勝手に阿蘇周辺が全て壊滅的な状態なのかと思っていました。

確かに場所によりかなり被害の大きい場所もたくさん見かけました。田植えにも協力されていた地元の元議員さんの方が、「一生の中でもこう言う場所を見る機会もなかなかないだろうからしっかり見て行って欲しい」と、崩落した阿蘇大橋を含め、亡くなられた学生さんがいた寮など、被害の最も大きかった地域のひとつを案内してくださいました。

そして、実際に大きな被害に遭われた方々とお話をする機会がありました。私達は何と言っていいのか言葉が出てこない中で、逆に地元の方は
「報道やボランティアの方など域外から来た様々な方々と話をする度に、勇気や力をたくさん頂いている。是非また来てください。必ずまたお会いしましょう!!」
と笑顔で言葉を頂きました。

被害に遭われた方々も、被害にあった翌日からはまた生活が始まっており、前向きに進んでいかねばならず、大切なのは震災直後の復旧だけではなく、日常生活に戻って行くことの重要性だと教えていただきました。

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さて、お世話になった農家さんがいらっしゃる地域は被害は多少あるものの、むしろ、田植えなど時期を逃すことができない農業というお仕事だけに日常生活に戻って行く必要があるそうです。

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毎日が着物生活でジャージなどを持っていないため、今回は妻も私も作務衣に手ぬぐいでほっかむりをして田植えに挑戦しました。日差しも強く気温の高かったのですが、手ぬぐいの効果は抜群でした。

ちなみに毎日着物生活の私も、今回被災地に入るので着物姿はどうなのかと少し考えましたが、我々夫婦の着物姿も一般の他の地域とあまり変わりない反応で喜んで頂いた方もたくさんいらっしゃいました。もちろん、飛行機と車で移動し田植えのために田舎道を行くわけですから、着物とは言ってもカジュアルなコーディネートです。私は細身のパンツ状の袴に袖丈の短い筒袖の着物、妻は木綿の着物に半幅帯に足元は歩きやすい「カレンブロッソ」の履物というスタイルです。

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<阿蘇の北東部に位置する産山村。扇田百選にも選ばれる扇型の棚田が美しい。佐浦有節さん撮影>

今回、田植えをさせて頂いた南阿蘇以外にも阿蘇の北東部に位置する産山村(うぶやまむら)に友人の佐浦有節さんをを訪ねました。

200年前から昔ながらの無農薬農法でお米を作られている農家さんの娘さんと結婚されたことがきっかけで、東京から阿蘇の山間の産山村にIターンをされました。阿蘇周辺のエリアと言っても、観光地化が進んでいないエリアだけに原生林に近いような場所が残されていたりします。

「一番上の扇田を預かる者としては、農薬を使ってしまうと下の田んぼは全て汚染されてしまうから使えない」

佐浦さんの義父さんの言葉だそうです。
阿蘇は水の宝庫。代々、自らのことだけではなく、自然や他者との共存してきた方々の言葉です。

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<熊本市内の水前寺公園>

今回の震災の被害で熊本・大分周辺の方々の生活が本当に日常に戻って行くにはたくさんの時間が掛かるとと思います。だからこそ、域外の私達は阿蘇のような観光地にはたくさん足を運び、自分の眼で見て手で直接触れ、食事をして、宿泊をして経済活動を止めないことが復興する近道なのだと今回の旅で教えていただきました。より多くの方に熊本や大分などに足を運んで頂きたいと思います。

最後になりましたが、今回の震災で被害に遭われました皆様に心よりお見舞い申します。そして、また皆さんの笑顔を拝見しに伺わせて頂きたいと思います。

平成二十八年五月二十三日
【旧暦四月十七日/友引(乙巳)】

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