<昨日のイベントの終了後の記念撮影。左から妻の紅子とゲストの蔦屋漆器店の大工素也さんとお客様と私>

昨日、六本木のawaiで開催しました輪島塗のイベントでお客様が懐かしい帯を素敵に締めて来て下さいました。

東日本大震災の一年後の2012年3月に発表しました「日昇(にっしょう)」という帯です。震災後に気持ちが内向きになっていた日本を少しでも元気な気持ちにしたいという想いでデザインさせて頂いた帯でした。発表してネットでご紹介した直後にお求め下さり、店内では伝説の一本となった帯です。他に色違いは制作しましたが、同色は一点限りの制作でした。

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写真を見て頂くと分かる通り、日の丸をデザインとしてます。お太鼓になる部分に少し日の丸が右に寄ってデザインしてあります。少し上よりでも下よりでも締めて頂けるのであまり正確に柄を出そうとする必要がありません。また、リバーシブルの帯になっており、逆側は七宝柄になっており、裏からチラッと赤の地色が見えるのが特徴でした。

ちなみに通常は博多織の帯と言えば織りものですが、染められる帯生地を開発できたことで実現した帯です。博多織で織った帯地に私のデザインを京都の腕の良い職人さんを訪ねてろうけつ染めして頂きました。

さて、昨日この「日昇(にっしょう)」の帯をお客様が日本の伝統工芸のイベントということで、締めて来て下さいました。久しぶりに嫁に出した子供に会えたような気持ち(!?)になり、また、お客様のそんなお気持ちにたいへん感激しました。

「2020年はこの帯を締めてオリンピック観戦できますね!」そんな会話をしながら、またの再会を楽しみにお別れしました。今まで様々な帯や着物などを制作して来ましたが、お客様がご着用下さっているのを拝見出来ると本当に嬉しいです。

 

昨日から都内では「Japan Traditional Crafts Week 2015」が開催され、様々なショップで伝統的工芸品が紹介されています。限られた準備期間ということもあり、このイベントのために新しいモノ作りができたところはどちらかと言えば少数のようですが、それぞれのショプなりのセレクションとプレゼンテーションをしています。

伝統工芸の強みは、量産化できないことだと私は考えています。効率を上げて量産化することでコストを下げ世の中に大量供給が可能になります。これは人口も増加し様々なものが急拡大してゆく高度成長の社会的にニーズには合致したものづくりだと思います。一方でこれからの日本は既に人口がピークを越え様々なこととが縮小してゆくことは誰しも知るところです。これは長い歴史を持つ国である日本にとっても初めての体験です。この変化をどう捉えるのかによって、これからの時代に求められる私達の仕事のあり方が大きく変わるのだと思います。

伝統的工芸品を大量生産商品に替わるトレンド商品として扱うのではなく、作り手、売り手、使い手のそれぞれが顔の見える存在としての関わり作りこそが、これからの仕事のあり方に求められているのではないかと思います。

 

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