40代中盤に差し掛かると人に使われるよりも使う側になり、現在では私自身も小規模であっても経営というところに身を置き、支援させて頂く先にもたくさんの人が関わるようになってきます。すると、課題の多くは人に関わる事が中心になります。特に若手が頑張っていてもなかなか結果がでない、というときにこんな話しをすることがあります。

「仕事」と「作業」の違いについてです。

新しい環境になったり、役職になったりすると、慣れない仕事をするためにどうしても余裕がなくなることがあります。そんなときに概して、目先の事を処理することに一生懸命になり、周囲の景色が見えなくなりがちです。私自身もいままで長く仕事をしていて何十回も何百回も壁にぶつかって来ました。そんな経験の中から「仕事」と「作業」ということを分けて考えるようになると、自分の中でも整理ができ仕事がスムーズに進むようになってきました。

上司やクライアントから特定の依頼があり、その依頼通りのつもりで「作業」を行っていると、それが本来の意図と違うと叱られたり、結果に繋がらず途方に暮れてしまうことがあります。本人としては正しい「作業」だと思って一生懸命にやっているのに、求められる結果に辿り着けない、そんなことが多いのではないでしょうか。

これは「仕事」と「作業」の違いが曖昧なことによって起こることのように思います。

「仕事」の多くは何らかの結果や成果を求められているはずです。本来はその成果を出すための「作業」は様々な手順があり得ます。ところが、成果となるゴールの設定が曖昧だったり、ゴール自体を間違った認識をしていると、その「作業」は的を得ない意味のないものになってしまいます。
つまり、「作業」が求められている成果や結果に繋がって初めて「仕事」として評価されます。しっかりと「仕事」にするためには、求められているゴールがどこにあるのか、きちんと認識できていないと精度が低くなってしまいます。どんなに一生懸命「作業」をしても、それは単なる「作業」であって「仕事」には認めてもらえないということです。

私達のような伝統工芸や伝統文化に関わっていると、とても技術力の高い職人さんの技術が価値の低い「作業」に浪費されており、「仕事」に繋がっていないと思うケースが少なくありません。人間国宝レベルの職人さんが技術的には素晴らしくても、社会的なニーズが薄い領域の商品を作っていたり、時代の求めるセンスと合わなくなって来て評価されないということがしばしば起こります。

モノが売れない時代になったと言われるようになって随分経ちました。日本が少子高齢化の成熟社会になり、社会構造が変わったことが大きな要因だと言えますが、別の見方を変えれば、消費者が生産者や供給者側に求めている「仕事」の中身が変わって来たとも言えるでしょう。

また、着物が好きだから、着付の免状を取ったから、着物の仕事に就きたい、というような方のお声を聞きます。残念ながら着物に関わる仕事で食べてゆくのは、現代ではなかなかハードルは高いと言えると思います。それは着物文化そのものは価値も可能性はあると思いますが、現代において着物に関する「作業」は商業的な意味で成果につながりにくい、つまり「仕事」になりにくいということです。

最近、地場産業や伝統工芸や伝統文化を復興しようという動きが活発化してきました。いままでの「作業」を社会的な価値のある「仕事」へ見いだそうという取組みだとも言えます。一種のブームが去り、その先に残る「仕事」となれば、その産地や工芸も残る可能性があります。
着物も「仕事」にできるかどうかは、着物に関わるとても複雑な「作業」を、社会的にも商業的にも価値を生む「仕事」に昇華できるかどうかでしょう。
時代の求める「仕事」を捉え直す必要があるのは、実はこれから無駄な「作業」の経験が積める時間的な猶予のある若手ではなく、むしろ私達のような成功体験のある中堅層かも知れません。

和ヲ服スルススメ①ブログ用

 

“和ヲ服スル”ススメ 〜サムライの一服〜

和服の服、薬を服用するの服。もともと服とは薬ことをも意味しました。
世の中はグローバルに広がりスピードは早まるばかり。この現代に”一服”を提案します。
期間中はゲスト作家をお招きしてのトークイベントやお呈茶も予定しています。

場所:銀座三越 7階 ジャパンエディション
期間:平成27年11月18日(水)〜12月8日(火) 午前10時30分~午後8時
監修:木下着物研究所
参加作家・ブランド
matohu(布物)   ※11/18〜24
二階堂明弘(陶芸) ※11/25〜12/1
中澤希水(書)   ※12/2〜8
Sゝゝ(金工等)
蔦屋漆器店(漆器)

awai(布物)
※期間中は全ての作家・ブランドが出展しますが、※各期間には拡大展開いたします。

【トークセッション/参加無料】
ファッション、陶芸、書の世界で活躍される方々から監修の木下勝博が「服スル」をテーマにお話を伺います。
(1)十一月二十一日(土)十四時〜
「これからの和ノ服」 matohu デザイナー 堀畑裕之氏、関口真希子氏
※終了後にmatohuの茶箱を使用したお呈茶も予定しています。
(2)十一月二十九日(日)十四時〜
「器を服スル」 陶芸家 二階堂明弘氏
(3)十二月六日(日)十四時〜
「書を服スル」 書家 中澤希水氏

※詳細はWebをご覧下さい。
http://kinoshitakimono.com/
https://www.facebook.com/events/1763402180553723/

【お呈茶】
和ヲ服スル茶会/武者小路千家 傳田京子氏
11/22(日)、11/28(土) 各14:00〜、14:45〜、15:30〜
定員:各回3名ずつ
参加費:1500円(税別)
気軽な立礼式でお茶を楽しんで頂きます。
※お申込は銀座三越7階ジャパンエディション(03-3535-1804(サロン ド きもの直通))まで直接お申し込み下さい。
※11/18-11/24は隣接の「サロンドきもの」では、リアルクローズの着物ブランド「awai」が期間限定出店致します。

Instagram 【着物・和装】