ここに写る包装紙を見て、「懐かしい」・・・そんな印象を持たれる方が多いのではないでしょうか。

写真は先日三越日本橋本店の1階ホールの展示の様子。打合せ等で日本橋の三越さんには良く行くので、その際に1階ホールは気になってのぞきます。

「華ひらく」デザインを江戸小紋の廣瀬雄一さんなどにより新しいアイテムとして提案しています。
http://mitsukoshi.mistore.jp/onlinestore/shops/1603hanahiraku/index.html

「華ひらく」と名付けられたこのデザインは、日本を代表する洋画家の猪熊弦一郎氏によるデザイン。猪熊氏が千葉の犬吠埼を散策中、海岸で波に洗われる石を見て、「波にも負けずに頑固で強く」をテーマにしようと考えたことから生まれたそうです(三越Webサイトより)。
そして、そこに「mitsukoshi」のロゴを書いたのが、アンパンマンの生みの親である漫画家やなせたかし氏。やなせ氏はもともと三越の宣伝部の社員で、猪熊氏に依頼をし、できあがった作品を取りに行ったのはやなせ氏だったとか。
今、百貨店の包装紙やショッパーは、それを見ればどこどこ百貨店ということがすぐに分かるもの。戦後間もない1950年に三越がこの包装紙を使い始めた頃はこういう取組みは日本では初めてだったようです。

近年、懐古主義とは少し違ったこととして、古い物事を改めて評価することが増えているように思います。特に震災以降、それが顕著であるようにも思います。
団塊世代のリタイアを迎え、より高齢化に向かう日本ですが、様々なメディアや企業も多数である団塊世代を意識したアプローチをしています。一方で、ちょうど団塊ジュニア世代である私達世代、その下の世代も、”古い日本の物事”を”新しいモノ”として関心を持ち始めていると思います。

伝統的な分野である呉服・着物の様々な企画やプロディースの仕事していると、特に元々が呉服店発祥の老舗百貨店様のお手伝いなどをしていると、それまでに蓄積して来たものがとてつもなく大きいものであると実感します。一方で、常に新しいことをやって来たのが、戦後日本の百貨店であることも事実です。

話題作りのためにただ目新しさを追うのではなく、丁寧に本物を見つめる目を持ち、後世に伝えるために再構築すること、そんなことが伝統に関わる仕事には求められている、そう思います。

現在、三越の包装紙は、人間国宝の友禅作家・森口邦彦氏のデザインを採用。こちらも個人的にもとても好きなデザインです。

平成二十八年四月十二日
【旧暦三月六日/友引(甲子)】

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